開発をスタートした当初、
私が最優先に掲げたのは音響部ではなく
・ケース合わせ面パッキンの削除
・防水コネクタ開発
でした。
もともと職務経験の中心は自動車や航空系で
携帯電話のような小型電子機器の開発経験は有りませんでした。
「音響部ってこんなに難題なんだ」と知ったのもかなり後です。
その時点で最初に目に付いたのが
<量産性の低さ>
ハンドメイドの航空機はともかく、
あれだけ高性能の自動車がわれわれ普通の所得者に購入可能なのは
大量生産によるコストダウンのおかげです。
自動車の開発設計では、
量産性を上げるために様々な検討を綿密に行います。
なるべく安い材料で、なるべく簡単に作れて、安定した性能を持つ。
こんな感じにです。
大量に作るということは、失敗したときも大きくなります。
設計段階での十分な検討がその後を大きく左右します。
防水携帯のケースにパッキンを組み込む作業は
細いゴム製のパッキンを組み込むだけでも難しいのに、
ちょっと引っ張ったりして組み込むと
パッキンの「シール断面積」が小さくなり
防水性能が保てなくなる等、かなり難易度の高いものです。
組み立てづらい上に、性能も安定しません。
当然、組み立てづらさはコストに反映。
量産しても利益にならないことになります。
自動車メーカー勤務時に
ゴムと部品の一体成型が可能という情報を得ていましたので、
ケースとパッキンの一体成型を第一の開発テーマとしました。
次に防水コネクタです。
このとき私も防水携帯を使用していましたが、
「充電やイヤホン用のコネクタ使用時には防水ではなくなる」
・・・これはおかしいでしょう。と思っていました。
雨の日に通話中、
手元が滑って落下した衝撃でコネクタの蓋が開くと
水が入り込んで携帯電話が終了。。。
これを防水携帯と呼んでいいんでしょうか^^;
大事なデータ満載の携帯電話です。
この程度で壊れるようなら
防水携帯でも雨の日に安心して使えません><
サイズの関係か
電子機器のコネクターは「非防水」が基本。
でも、コネクターが防水なら
使う側としても安心ですよね♪
自動車でコネクタの防水は当たり前でしたし、
このときは安易に作れると考えて第二の開発テーマとしました。
そして、
この2つのテーマは開発が完了しています。
ケースとパッキンの一体成型は
大阪のゴムメーカーさんに一次試作から御協力いただきまして、
色々トラブルも出ましたがメーカーさんの努力の結果
この夏のモデルから大々的に量産適用☆
防水コネクタも簡易タイプ(3気圧)と完全タイプ(10気圧)
の開発が完了していますが、何故かまだ市場にでてきません。
防水コネクタに関しては
かなりコネクタメーカーさんにとって難題だったようで、
当初、全ての大手メーカーさんに依頼したのですが
具体的に検討までしていただいたのは2社のみ。
そのうち試作品を完成させていただいたのは1社のみでした。
私的には、
この試作品を完成させてくれたコネクタメーカーさんは
世界一のコネクタメーカーさんです☆
この携帯電話用に開発した防水コネクタは
性能・量産性と、十分市場に耐えれるものと考えています。
でも、
あれから2年近く経つのにニュースにならないということは
いろいろ裏事情があるかも知れませんね。。。
次回の技術②では
「落下と防水」に関するお話を予定してます。
・・・・・
防水モデル携帯の開発経験ある方なら、
いまの携帯電話の防水が「いかに危ういか」をご存知でしょう。
しかも「いかにコスト高」であるかも。
ですが、設計段階で確実な性能を確保して量産すれば
十分採算の合うビジネスと成るはずです。
そのためには
今の日本でかなり危うくなっている
「設計力」
が問われるところなのですが、
ここは今回のお題から外れるので
また別のテーマで書くことにします^^>
2010年7月9日金曜日
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