2016年9月21日水曜日

自動運転という誤解

2020年のオリンピックで自動運転車両を走らせる。
こんな目標があります。

ここで言う自動運転。
皆さんどんなイメージを持っているでしょうか。

それは当然
「行き先を告げるだけでどんな所にも、
ハンドルを握らずとも連れて行ってくれる自動車」
ですよね。

しかし、
残念ながら現実的にはそんな自動車は不可能です。(2020年までには)

まず、この自動運転の段階を規定する規格
SAEインターナショナル(旧アメリカ自動車技術会)から出ています。

・ハンドルとアクセル、ブレーキの操作
・車周辺の状況把握
・緊急事態への対応
・システムによる補助や自動化の程度

この上記項目で5段階に分けられた自動化のレベルでは
レベル3まで「緊急時に人間のバックアップが必要」とされています。

レベル0: 自動化無し
レベル1: 人間の運転を支援
レベル2: 部分自動化
レベル3: 条件付き自動化
レベル4: 高度自動化
レベル5: 完全自動化

クルーズコントロールシステムや車線維持システムはレベル1相当で、
レベル2とはレベル1の機能を複数組み合わせて
運転の自動化範囲を拡大したものです。

そして現在市販されている車に実装されているのは
このレベル2まで。
2020年までにレベル5のシステムが販売されると考える専門化は
一人も居ないとのこと^^;

車の自動運転の困難さを理解する比較データとして
飛行機の自動運転をここでは挙げています。

航空機のオートパイロットのソフトに求められるのは数十秒単位での判断ですが、
車両の自動運転の場合、1秒、もしくはそれ以下の判断が必要で、
数十倍の判断速度向上が必要です。
そして
航空機の開発費は半分がそのソフトの動作確認と検証に使われています。
この事実を考えれば
仮に自動運転車両が現実になったとしても
我々が手に出来る金額にはならなそうですよね。。

では2020年までにどんな自動運転が現実になるのか。

・自動化された駐車システム
・隔離された専用路でバスの運行
・特定条件下での高速道路自動運転

このような技術が予想されていますが、
高速道路自動運転は厳しいかなーと思いますね。

そしてまたこの記事の中でシステムのフリーズへの懸念が出ています。
確かに単体の判断回路がフリーズしたら
乗ってる人とその車の周辺に居る人は終了です。
それなら思考回路を並列化したらどうかと思うんですよね。
2つとか3つではなく100とか200とか。
各思考回路の判断の多数決を取るとか。
多数決を取るところがフリーズしたらアウトですけど、
簡単な判断回路はフリーズしづらく出来るようです。

現在の集積回路技術に加えて分子コンピュータも実現レベルに入っています。
記事の筆者は2075年までには
完全自動運転車両は実現しないと言っていますが、
何かブレイクスルーあれば不可能じゃないと思うんですよね。
課題は山積ですけど。。


<日経サイエンス2016年9月号より抜粋してお届けしました>



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