2010年7月29日木曜日

高度防水携帯の技術⑤

さて、スピーカーは出来ました。
ではマイクはどうか。

携帯に使用されているコンデンサマイクの構造を見ると
スピーカーと同じようにはいかない感じがありました。

もともとコンデンサマイクは
振動膜の静電容量変化をセンシングしています。
その膜に水が付着すれば静電容量が大きく変化、
音波が正確にセンシングできないことになります。

そこで「2次振動膜構造」を考案しました。

以前の記事でも紹介しましたとおり
この2次振動膜構造自体は既存の技術でしたが

・耐圧構造
・振動膜補強構造

を追加することで特許出願済み(以前勤務の会社より^^;)です。


<特開2009-153002>画像はIPDLよりキャプチャ

マイク用に開発した技術ですが、
一次試作では「試作性」「評価性」から
スピーカーを使用した構造でまずテストしました。

出来上がった試作品の音を聞いた時、
「勝ったな」
と思いましたね^^

これまで音響部は撥水性防水膜(ゴアテックス)の影響で
音響性能が大きく変化するのがあたりまえ。
2次振動膜構造も周囲はそれを懸念していました。

でも個人的には

「音波に影響を与えないような膜の保持力設定をすれば
ほとんど2次振動膜の影響は無いものと出来る。」

と考えていましたので、
この予定どおりの結果は嬉しかったです♪


さて、この構造をマイクに適用して完成~
と思いきや
ここからが本題でした><


ケースを完全に閉じてしまうと
内部に残った空気が温度で変化します。

この圧力はケースを変形させるのですが
一番動きやすい音響部に集中してしまうのです。

ちょっと温度が上がっただけでも
2次振動膜はパンパン。
音響性能以前の問題です。

ここで余剰ケース内気体用に
「通気膜」をまた使用するようなら
防水レベルは逆戻りとなるわけで・・・


そこでこの時

①ケースの中に音響部の仕切られた部屋を作る
②機器内の空間を充填剤で埋める
③浮き袋のような圧力調整室を設ける

等のアイデアがありましたが

①は試作でトライしましたが組み立てが難しくNG
②は修理や回収の観点からNG
③は容積を取るが実現可能

とのことで③を特許出願しています。


<特開2009-70909>画像はIPDLよりキャプチャ

ただ、容積と音響部以上の柔軟さが必要なため、
かなり苦しい「アキレス腱」となっていたことは
間違いありません。

この時点では、
「ケース側で防水構造をなんとかしよう」
という頭が強すぎたのだと反省しています。


諸般の事情でこの会社を離れ
肉体労働を半年した後に

「防水マイクロフォン」特許

を考案することになりました。


次回は電池部周辺防水構造を予定してます^^>

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