2010年7月20日火曜日

高度防水携帯の技術③

今回のテーマはディスプレイ防水構造。

携帯電話などの小型電子機器に対して
腕時計と同様の防水性能を持たせようとした場合、
一番のハードルになるのが
この「ディスプレイ部」です。

最近の携帯電話はディスプレイの面積が広く、
この広い部分に均一に水圧などの力が作用した場合
簡単に破壊強度を超えてしまいます。

時計でも
20気圧などの高度防水モデルは
表示部の厚みがかなりありますよね。


ディスプレイ面積を通常モデルと同様に確保した場合に
許容可能と思われる全体厚みから逆算すると、
3気圧(30m)防水ぐらいが限界。

これ以上の性能を持つ防水モデルを成立させる場合には

・分割ディスプレイ構造
・面圧に強い液晶

等が必要になります。

個人的には「分割ディスプレイ構造」が
迫力あってカッコよさそうな感じでしたが、
予算の関係上試作まではいきませんでしたね~

特許も出そうとしましたが
通りませんでした><



ディスプレイ部は面積の他にも敵がいます。

それは組み付け用の「両面テープ」。

最近性能がかなり向上している接着テープ業界ですが、
まだ高度防水構造への適用は難しいと考えています。

一番の問題は温度で接着力が大きく下がること。

直射日光などで高温になることが多い携帯電話では
この状況で変形が入ると接着面が剥がれる可能性があります。

部品の剥がれで機器が破壊されるのでは
使用するわけにはいきません。


そこで、この部分をゴムでシールしようと考えました。

構造としては通常の窓と同じで、
窓に使用するガラスと窓枠となるケース間にゴムを適用。

携帯電話のケースサイズでは
ゴムを後から組み込むのは至難の業なので、
窓(14)とケース(11)間のゴム(15)をインサート成型します。


<特開2009-111847> 画像はIPDLよりキャプチャ

言うのは簡単ですが、
ガラスとゴムのインサート成型の場合
金型にガラスを挟み込むので
かなりの金型精度が必要。

「出来たらいいな~」
ぐらいで考えたのですが、出来ました☆

これも大阪のゴムメーカーさんです。


かなり接着面積は狭いのですが、
強度も防水性もバッチリ。
もちろん耐熱性もバッチリです。

強化ガラスなので
ディスプレイ部がキズキズになることも無く、
クリアな表示が保てます。

窓部とケースを透明樹脂で一体成型しても可能ですが、
ディスプレイのキズって意外に気になるんですよね~

個人的にはガラス級の硬度が確保できなければ
樹脂窓は避けたい感じです。


こんな感じで
「ディスプレイ部」の防水構造も確立されています。


次回は「スピーカー構造」を予定してます♪

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