2010年7月25日日曜日

高度防水携帯の技術④

今回のテーマはスピーカー構造。
レシーバーを含む音を発生する部分の構造で
お話したいと思います。

スピーカーで言えば、
防水構造のものは「バイク用」「マリン用」など
振動板に防水コートしたものが販売されていました。

しかし、
一時的な「水がかかる」程度の水量対応であり
「水圧がかかる」使用に耐えるものではありません。

数年前から市販携帯に適用された
携帯電話用の防水スピーカーも同様でした。
軽い「水没」には耐えても「水圧」では破損します。

当然水圧がかかる状況下では
音を出すことはありませんが、
その状況下を「耐えて」大気圧に復帰したときに
機能を再現できることで、
水難時の緊急連絡等が可能になります。

身近なところでは
洗濯機に衣類と一緒に投入しても
洗い終わったあとに普通に使用できます^^

これを可能にするために
振動板部にバックアップ構造を設けた
スピーカー構造を考案しました。


<特開2008-252237>画像はIPDLよりキャプチャ

水圧などの外力が作用した際に
振動板が破損しないよう
バックアップ(後ろから支える)構造を追加。

耐水圧が高いものは、
バックアップ構造の面積が大きくなる関係で
振動板の自由度(動きやすさ)が制限され、
音響特性に影響が出ますが
振動板の破損は回避できます。

図では振動板を保持する(1)の内部(12)に
圧力がかかった時の形状を想定して
バックアップ構造を形成しています。

バックアップ構造に穴(11)が空いているのは
音響特性のためにこの部分で空気を出入りさせ、
振動板の動きをなるべく自由にする
狙いがあります。

音を発生する側のスピーカー構造はこれでOKでしたが、
この後
音を拾うマイク防水構造は結構苦労することになります。

というわけで
次回は「マイク」と「その周辺」の防水構造について
お話しする予定です♪

2010年7月21日水曜日

テクノフロンティア2010

先週に引き続き、ビッグサイトで開催されている
電子・機構部品の技術展に行ってきました。

今回の目的は

・モーター技術展
・バッテリ技術展
・EVインフラ設備展

だったのですが、
あまり目を引くものが無かったですね。。。

でも
展示会は何処にお宝があるかわかりませんから、
とりあえず端から端まで
全ての通路をゆっくり見てまわりました。


その中でまず目を引いたのが

・温度差発電システム

原理は以前から知っていました。
しかし、どー考えても効率悪そうなので
本当に使えるのかを聞きたかったのです。

展示では「温泉」での適用例でした。
渓流の冷水と湧き出す温泉の温度差を利用して
発電しているそうです。

ここでは既にある「流れ」を利用して
発熱用の素子に温度差を生み出しています。

温度差を保つためには温泉と渓流の水を
流し続けることが必要で、
流し続けられる環境があればこその発電となります。

この流れをモーターで作るようであれば、
効率もかなり悪いでしょう。

この展示に関して
「温泉」と「渓流」と「温度差発熱」
この組み合わせを見つけたことが
素晴らしいと思いました。

でも、
やはり使える場所が少ないのは
間違いない感じですかね。


そして次に目を引いたのは、オムロンさんの

・振動発電システム

ちょっと前に東京駅でテストされていた
「圧電素子」を使用したものとは違い、
ここでの振動発電は「エレクトレット」と呼ばれる
コンデンサのようなもの(?)を使用します。

携帯電話のマイクに使用されるものと原理は同じです。

携帯のマイクでは発生する電力が小さいので
それを増幅して使用しています。

「そんな微弱な発電が使えるの?」

という感じでしたが、
稼動中のモーターとか凄い振動をするものに適用、
しかも発電された電気をコンデンサに貯めて
機器の情報を発信する電源として使用するようです。

この使用方法ではすぐにでも実用化出来そうでしたが、
我々の身近なところで活躍するのは
まだ遠い感じでした。


次に目に留まったのは、太陽金網さんの

・コ・フォーム

ハウジングに導電性エラストマーガスケットを
精密に自動的に装着する技術です。

自動車のガスケットでは
この自動注入があたりまえになってきていますが、
これを携帯のケースやディスプレイに適用できれば
随分とコストダウンが可能になるでしょう。

もうやられているメーカーさんもあるかもですが、
できればこれを高度防水モデルに適用したい感じ。

導電性ということで
電気的に独立してしまうようなこともなく、
機会があれば使ってみたい感じでした。

太陽金網さんは
説明のお姉さんが可愛かったので
ここもポイント高かったですね^^


コネクタ屋さんのブースで
防水コネクタ話題で盛り上がったりと
意外に楽しめた展示会でした☆

2010年7月20日火曜日

高度防水携帯の技術③

今回のテーマはディスプレイ防水構造。

携帯電話などの小型電子機器に対して
腕時計と同様の防水性能を持たせようとした場合、
一番のハードルになるのが
この「ディスプレイ部」です。

最近の携帯電話はディスプレイの面積が広く、
この広い部分に均一に水圧などの力が作用した場合
簡単に破壊強度を超えてしまいます。

時計でも
20気圧などの高度防水モデルは
表示部の厚みがかなりありますよね。


ディスプレイ面積を通常モデルと同様に確保した場合に
許容可能と思われる全体厚みから逆算すると、
3気圧(30m)防水ぐらいが限界。

これ以上の性能を持つ防水モデルを成立させる場合には

・分割ディスプレイ構造
・面圧に強い液晶

等が必要になります。

個人的には「分割ディスプレイ構造」が
迫力あってカッコよさそうな感じでしたが、
予算の関係上試作まではいきませんでしたね~

特許も出そうとしましたが
通りませんでした><



ディスプレイ部は面積の他にも敵がいます。

それは組み付け用の「両面テープ」。

最近性能がかなり向上している接着テープ業界ですが、
まだ高度防水構造への適用は難しいと考えています。

一番の問題は温度で接着力が大きく下がること。

直射日光などで高温になることが多い携帯電話では
この状況で変形が入ると接着面が剥がれる可能性があります。

部品の剥がれで機器が破壊されるのでは
使用するわけにはいきません。


そこで、この部分をゴムでシールしようと考えました。

構造としては通常の窓と同じで、
窓に使用するガラスと窓枠となるケース間にゴムを適用。

携帯電話のケースサイズでは
ゴムを後から組み込むのは至難の業なので、
窓(14)とケース(11)間のゴム(15)をインサート成型します。


<特開2009-111847> 画像はIPDLよりキャプチャ

言うのは簡単ですが、
ガラスとゴムのインサート成型の場合
金型にガラスを挟み込むので
かなりの金型精度が必要。

「出来たらいいな~」
ぐらいで考えたのですが、出来ました☆

これも大阪のゴムメーカーさんです。


かなり接着面積は狭いのですが、
強度も防水性もバッチリ。
もちろん耐熱性もバッチリです。

強化ガラスなので
ディスプレイ部がキズキズになることも無く、
クリアな表示が保てます。

窓部とケースを透明樹脂で一体成型しても可能ですが、
ディスプレイのキズって意外に気になるんですよね~

個人的にはガラス級の硬度が確保できなければ
樹脂窓は避けたい感じです。


こんな感じで
「ディスプレイ部」の防水構造も確立されています。


次回は「スピーカー構造」を予定してます♪