昨今、もうすぐ起きると言われている
南海トラフを震源とする地震。
東日本大震災級の災害が起きるとも言われています。
これを予知し、
災害による被害を最小限としようというのは
誰しも考えることと思います。
ただ、これまで
確実に予知できた地震予知法は無いのが現状。
しかし、最近のセンシングデバイスの進化と
変動を検出する解析手法により
可能性を感じさせてくれるものも出てきました。
ここで紹介するのは
大気中に微量存在する放射性元素「ラドン」の濃度が
地震発生数ヶ月前に大きく変動することを利用したものです。
東日本大震災後にこの異変に気がつき
そこから研究がスタートしたとのこと。
まず、ラドンとは何か。
ラドンは不活性で無味無臭の気体。
おおもとは岩石に含まれる天然ウランで、
これが45億年かけてラジウムに崩壊、
ラジウムは2年弱でラドンに崩壊し、
ラドンは4日で鉛になるわけです。
ウランから鉛になるまでの中間物質というわけです。
*放射性物質は、放射性崩壊によって別の元素に変化します。
次にラドンはどこから発生するか。
大気中のラドンは
その付近の地表(岩石や土壌、建物のコンクリート)から発生します。
先に話した4日というのは半減期のため、
発生から崩壊までの約10日間を利用して
付近の土壌変化を観測します。
そして大気中のラドン濃度にどんな変化が起こるのか。
これまでの観測では
地震の前にラドン濃度が急激に上昇、または降下が起こり
地震発生後に通常値に戻るというもの。
大規模な地殻変動で
高濃度のラドンが大気に開放される、
または亀裂が閉まってしまうことで
濃度が急降下すると考えられています。
ラドン濃度は通常も変動しているので
いきなり測定とはいかないようです。
まず数年をかけて一年間各日の平均ラドン濃度を求め、
そのうえでの測定が必要になります。
統計的な準備がまず必要です。
実はもう既に
この測定結果を公開してくれているところもあります。
なかなか興味深いですよ。
<日経サイエンス2019年2月号から抜粋してお知らせしました>
2019年1月25日金曜日
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