2017年8月16日水曜日

口笛言語

ギリシャのアンティアという小さな村に
何百年と伝わるこのコミュニケーション手段は、
数百メートル離れた人と
大声で叫ぶことなく会話することができます。

タイトルとしては口笛言語ですが、
実際はその地で語られる言語と別なものではなく
その拡張版といったところ。
アンティアで使われているのは
ギリシャ語ベースということになります。

では何故、
口笛は通常の会話より遠くまで届くのか。というと、
先ずその音量にあります。
叫び声の最大音量は約100db(デシベル)。
これに対し
口笛の最大音量は約120db。
音量が十分あって、あまり疲れません。

そしてその音の減衰性。
話声の周波数帯域は0.5~16キロヘルツと幅広く
このうちの高周波領域は空気を含む障害物で錯乱されやすいため
遠くまで届きません。
発話言語が到達するのは約40mで
叫び声でも200mです。

それに対して口笛言語では
使われる周波数帯域は1~4キロヘルツ。
低周波の音は錯乱しづらく遠くまで伝わり、
また人間の最も聞き取りやすい周波数帯もそのあたりというわけで、
口笛言語は700m先でも理解可能とのこと。
これも人間の知恵ですよね。

口笛言語が使われてる地域は
世界で70にもなります。
多いのは南米、アジア、ヨーロッパ。
日本には無いようですね。

通信手段が途絶えて
誰かの助けを呼ぶときは
大声よりも口笛のほうが
見つけてもらえるかもしれませんよ。


日経サイエンス2017年5月号より抜粋してお知らせしました。

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