2012年10月7日日曜日

体内細菌ネットワーク

人間の胃腸に住みついている細菌が
我々の思考と気分に影響を与えているかも知れません。

寄生体である細菌に行動を操作されている可能性もあるのです。

なんてちょっとSFチックな話に聞こえますが、
自然界にはこんな話は随分あるようです。。


細菌に操作される一例として
トキソプラズマという単細胞の寄生生物を挙げますと、

これに感染したマウスは
なんと猫を魅力的に感じるようになります。

当然の結果としてこのマウスは猫の餌食となり
トキソプラズマは上位捕食者という
安定した宿主を獲得するわけです。

また
昆虫の脳の中で成長する冬中夏草属の寄生菌類は
アリに寄生すると
脳を喰い尽くしてしまう前に草木の上のほうへ登らせ、
アリが死んだあとに頭部からキノコのようなものを出して
胞子を遠くまで飛ばします。

いやいや、 ばっちり操作されてますよ^^;


でもわたしたちはまた
細菌に助けられている一面もあります。


消化器、特に胃腸に住みつく細菌達は
もともと人間が消化できずに体外に排出されていた
ある種の食物成分を分解吸収できるようにしてくれています。

プロバイオティック補助食品が添加された
ヨーグルト等の食物は 胃腸の消化活動を助け
体を健康に保つ働きをしてくれます。


ここ数年、
特に腸内の細菌やウイルスが
神経系と相互作用しうる化合物を作り出し
わたしたちの思考と気分に影響を与えていることが分かってきました。

過大なストレスでお腹が痛くなったことがある人なら
脳と胃腸の緊密なつながりを理解しやすいかもしれません。


実は腸の内壁には脳の1/1000に相当する
数億個のニューロンから形成される 「腸管神経系」があり
脳による指令なしに腸の情報を処理しています。

お腹にも脳と同じ機能があるなんて 驚きですよね♪


腸内細菌はここに直接アクセス可能なため
間接的に脳へのアクセスも可能と考えられます。


産まれたてのマウスを特殊な環境で育て、
消化管に微生物が住みつかないようにした無菌マウスは
通常のマウスに比べ
ストレスを受けた時の対応能力が低かったとのこと。

さらにその無菌マウスにビフィズス菌の一種を与えたところ
ストレス対応能力が通常のマウスレベルに戻ったとのことです☆


抗生物質とかで細菌全滅させちゃダメってことですよ~


胃潰瘍の原因とされるピロリ菌も
ごく最近の研究で ただの悪者では無いことが明らかになってきました。

この細菌は人間の食欲をコントロールして
自らが住みやすい環境を獲得している可能性があるようです。


アメリカの研究では
中耳炎の予防の為に再三抗生物質を投与された世代から
肥満が増え出したという関連を報告したものもあります。

「なにもしていないのに太らない」なんて人は
お父さんお母さんから受け継いだ細菌が優秀なのかもしれませんね。


コントロールしているのか、されているのか。
結局私たちと細菌は共生関係にあるので
どちらでもないのかも知れません。

操られているとは、思いたくはないですけどね^^


日経サイエンス誌
2012年10月号より抜粋させていただきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿