渡り鳥のオオソリハシシギは
アラスカのツンドラから赤道を超えてニュージーランドまで
12000キロを7昼夜連続で飛び続けます。
経験を積んだ仲間や電子デバイス無しにですよ。
昔の著名人(アリストテレス等)は
この時期が来ると姿を消す(大移動する)鳥たちは、
冬眠するか、または違う鳥に変身するかと考えていたようです。
一部の鳥が2つの地域を毎年大移動しているのが分かったのは
ここ100年ぐらいのことだそうです。
昔の船乗りが太陽や星の天体をナビとして使っていたように
鳥達も天体をナビに使っていると考えられていますが、
それに加え地磁気を検知して方向を確認しているとも考えられています。
しかし、具体的にどう使用してるかはこれまでわかっていませんでした。
それが今回、様々な検証の結果から
鳥の目にあるたんぱく質(クリプトクロム)に青色光が入ることで
短寿命のラジカル対という中間体が形成され、
このラジカル対が微弱な磁気センサーとして働くということが分かってきました。
ラジカル対が磁気センサーとして働く構造は、
電子のスピン状態を検出し
それをシグナルとして脳に伝えるもので、
鳥は視覚情報として磁気を見てる可能性があるということです。
天体・地形と併せてこの力を使い、
渡り鳥達は数千Kmの移動に対し
誤差数cmという究極の精度を達成しています。
実はこのクリプトクロムというたんぱく質、
魚・昆虫・植物を含め、人間も持っているんですよね。
磁力が見える人間も実はいるのかもしれません。
<日経サイエンス2022年8月号より抜粋して記載しました>